彼女を好きな彼。

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 「僕、早速吉野さん家行ってくるよ」  小山くんから教えてもらった住所をスマホで確認しながら、カバンを取りに自分の席に戻ろうとすると、  「ホレ。腹が減っては戦は出来ぬぞ」    小山くんが、持っていた袋から焼きそばパンを取り出し、僕に渡した。  「いや。でも…」  僕には今朝母親が作ってくれたお弁当があるし、放課後の部活でいっぱい動くだろう小山くんが食べた方が良いと思う。  貰いあぐねている僕に、  「いいからいいから。俺、まだいっぱい持ってるし。午後の授業、先生には『北川は腹痛で帰った』って言っておいてやるからさっさと行け」  小山くんは焼きそばパンを押し付けながら、シッシッと僕を追い払う仕草をした。  『いいよいいよ』『いいからいいから』等という押し問答を繰り返す時間ももったいない気がして、素直に焼きそばパンを受け取る。
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