彼女を好きな彼。

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 「じゃあ、遠慮なく。ありがとう、小山くん。でも、その言い訳は通用しないっしょ」  僕が腹痛って。嘘がバレバレの域を超え、モロ嘘でしかない。  「ハッ!! そっか。じゃあ『北川のウンコが止まらない』って事にしとく」  「小山くん。本当は生粋の文系なんだから、もっとイイヤツ考えてよ」  そして、お昼時なんだから言葉選んでよ。小山くんに少々呆れつつ、自分の席の脇にかけていた鞄を手に取り、肩にかけた。  今度こそ教室を出ようとした時、  「北川!!」  小山くんが僕に向かって何かを投げた。  飛んできた物をキャッチすると、  「吉野の家、駅から結構歩くから、ここからチャリで行った方がいいよ。俺の貸してやる」  それは、小山くんがいつも通学時に使っているチャリの鍵だった。
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