傷む彼女と、痛まない僕。

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 「オイコラ。親に向かって何て事を言ってんだ。そんなに俺らは信用ないのか?」  父が、眉をピクつかせながら笑った。  大丈夫。大丈夫だよ、吉野さん。僕の親は信用出来る。  「…話そう? 吉野さん。国に助けて欲しくないんでしょ? 警察に、変に踏み込まれたくないんでしょ? ごめんね。吉野さんの力になりたいのに、何も出来なくて。役立たずで、本当にゴメン」  吉野さんを諭す様に、吉野さんの背中を擦ると、  「なってるよ。いっぱいいっぱい力になってるよ。ありがとうね、北川くん」  吉野さんの目から涙が零れ落ちた。そして、  「……助けて下さい」  吉野さんが、僕の両親に頭を下げた。  初めて吉野さんが、助けを求めた。
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