252人が本棚に入れています
本棚に追加
「オイコラ。親に向かって何て事を言ってんだ。そんなに俺らは信用ないのか?」
父が、眉をピクつかせながら笑った。
大丈夫。大丈夫だよ、吉野さん。僕の親は信用出来る。
「…話そう? 吉野さん。国に助けて欲しくないんでしょ? 警察に、変に踏み込まれたくないんでしょ? ごめんね。吉野さんの力になりたいのに、何も出来なくて。役立たずで、本当にゴメン」
吉野さんを諭す様に、吉野さんの背中を擦ると、
「なってるよ。いっぱいいっぱい力になってるよ。ありがとうね、北川くん」
吉野さんの目から涙が零れ落ちた。そして、
「……助けて下さい」
吉野さんが、僕の両親に頭を下げた。
初めて吉野さんが、助けを求めた。
最初のコメントを投稿しよう!