傷む彼女と、痛まない僕。

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 「それなら安心。栄養価が高くて、おなかに優しいお料理たくさん作るから、いっぱい食べてね。あ、吉野さんがお風呂に入ってる間にお料理と、吉野さんの洋服のお洗濯しちゃうから、のぼせない程度にゆーっくり入ってくれると助かるわ。シャンプーとボディソープは、私のヤツを使ってね。男共はその時特売のヤツを使わせてるんだけど、私のだけはそれなりにイイヤツだから、髪の毛サラツヤ、お肌しっとりよ」  母が『大丈夫、すーぐ元通りよ』と、吉野さんのきしついた髪の毛を優しく撫でた。  「オイ、やっぱりか。妙に泡立ち悪いヤツ買ってくる時あるよな、お母さん。そんな事だろうと思って、安いシャンプーにお母さんのヤツも混ぜて頭洗ってるぞ、俺」  そんな母に白い目を向ける父。  「嘘でしょ!? ヤメテよ、勝手にヒトのモノを使うの!!」  「自分だけ高いヤツ使っておいて、どういう神経してんだよ、お前」  「いいのよ私は!! 女だから!! 髪は女の命でしょうが!!」  そして揉め出す両親。  「…じゃあ、私も半々に混ぜて使わせてもらいますね」  クスクス笑いながら、吉野さんが僕の両親の会話を収めるべく口を挟んだ。
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