傷む彼女と、痛まない僕。

51/81
前へ
/204ページ
次へ
   リビングに足音が近づいて来て、ドアが開いた。  入って来た女の人は、いかにも敏腕そうで、見るからにお高そうなスーツを身に纏った、バリバリのキャリアウーマンだった。  「あなたが吉野さんね? 初めまして。弁護士の本田です。どうぞ、宜しく」  吉野さんを見つけると、サッと名刺を差し出すキャリアウーマン・本田。  「よ…吉野です。宜しくお願いします」  立ち上がり、お辞儀をしながら名刺を受け取る吉野さんを、  「じゃあ、早速あっちでお話しましょうか」  ダイニングに繋がるリビングのソファーを指差し、自分の家かの様に振舞いながら吉野さんを誘導する、弁護士・本田。  本田さんの何とも言えない迫力に、誰も突っ込みを入れられずに従う。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加