傷む彼女と、痛まない僕。

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 「しっかし、暫く見ない間に立派に普通のおっさんになったわねー。昔はバカ丸出しの大学生だったのにー」  ソファーに座りながら父を見て笑う本田さん。  「子どもの前でそういう話するの、やめてもらえませんかね」  父は、本田さんの近くには座りたくない様で、敢て遠めの場所に腰を掛けた。  「え? 何? 子どもの前で見栄張って『バカ小出しの大学生だった』とでも言えば良かったのかしら? 偽証罪だわ。弁護士としてそれは出来ないわー」  本田さん、大笑い。母もつられて笑う。  「~~~何で本田の兄貴はこんな気が強くて口が達者な女と結婚したんだ!! 本田も本田の兄貴もめっさ優しいイイ奴なのに、何故この女を家族に招き入れたんだ!!」  そしてキレる父。  あぁ。なんとなく本田さんの言ってる意味が分かるわ。お父さん、キレると何かバカ丸出し。
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