第6章 アンジュの世界 ②

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必要という意味は 僕にだって何となくは分かっていた。 けど――。 いざとなると身がすくむ。 頑なに閉じたままの僕の膝を アンジュは無理にこじ開けることはしなかった。 その代り。 「アンジュ……?」 僕に見せつけるようにしながら アンジュは自分の身体にローションを纏い始めた。 しなやかな白い身体。 ただでさえ肌理の細かい肌が光ると まるで磨き上げられた陶器のようになる。 「僕の望みが分かるか?」 ただ茫然とする僕を前に 「え……」 バスタブの淵に座って足を開き 美しい指先できわどいラインをなぞりながら 「僕の望みが分かるかと聞いたんだ」 アンジュは言った。
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