不可思議ないきものとの契約

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 シャンベクは、 その不可思議で恐ろしい感じのするいきものに、 じゅうぶんに注意をはらいながら、 おそるおそる返事をしました。  「君は、いったい誰だい。というよりも、何なんだい。」 「それはまた、ずいぶんと的の外れた質問だねえ。私はなにものでもない。しいて言うならば、ここから君を出すことのできるただひとつの存在だ。早くここを出たいかね?」  その奇妙ないきものは、 甘ったるすぎるようなやさしい声で、 シャンベクの質問をかろやかにかわして、 逆にシャンベクへ質問をしてきたのでした。
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