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シャンベクは、
「もちろん出たいに決まっている。
早くこんな恐ろしいところからは出てしまって、母さんと妹の待っている家に帰らないといけないんだ。」
と言い、
すぐさま自分の家族が心配している姿を想像しました。
「シャンベク、そんなに家族のことを心配しなくても大丈夫さ。すでに私のつかいが君の家族の夢の中に入って、君が無事なことを伝えておいてあるんだ。それに、今すぐに家族のもとへと帰してやるよ。ただ、それにはひとつ条件があるんだ。
その条件ってのはね、これから私が君にある秘密を授けるのだけど、それを絶対に墓場まで持って行ってほしいんだ。墓場まで。
私の言っている意味がわかるかな?言葉どおりの意味だよ。」
そう、
そのいきものが例のやさしすぎる甘ったるい声でいい終わると、
シャンベク少年は、
「わかった、ここから出られるなら何でも言うことを聞こう。」
と、
最後の力をふりしぼって、
か細い声で返事をしました。
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