ありがとうをもう一度

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それはあまりにも突然の事だった。 訳あって私の家庭はバラバラになってしまった。 父も母も飼っていた犬も私も。 皆それぞれ別々に住んでいた。 ある日珍しく父から連絡が来た。 「クッキーが天国に行ってしまった。」 仕事中だったが、私は急いで連絡を返した。 「え…いつ?」 「今日の午前中にね、急に様態が悪くなって、眠るように天国に行ってしまったよ。」 「そんな…」 「今日、来れない?明日には火葬する予定なんだ。」 「分かった…仕事終わったらそっちに向かうね。」 「クッキーも喜ぶよ。」 中学生の頃に、母が一目惚れした犬を飼った。 名前はチョコ。 アタマが良くて活発的な男の子だった。 それから1年後にクッキーが我が家に加わった。 2匹とも仲が良くて、私にとっては可愛い弟分だった。 それから5年後に両親は別れた。 その時2匹の弟分も離れ離れになってしまった。
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