ドアを開けると

今夜のメインディッシュは僕の好物、さんまの塩焼きだな

多分、君の好きな鶏のからあげとセットだろう。

それからついにお袋の味を超えたひじきの煮物。

台所に顔を出して、帰り道の和菓子屋で買った豆大福の包みを揺らしながら

「ただいま」

君の視線は僕の右手にぶら下がってゆらゆら揺れる袋に釘付け。

こんな人生があるなんて、あの頃の僕が知ったらどんな顔をするんだろう。