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「…………あ、そうか!」
思い出した! あの場面、犯人は続けてボロを出していたんだ……!
冬吾は咳払いしてから、夕莉へ向かって不敵に笑ってみせた。
「……では、お望み通り、もう一押ししてみましょう」
撃てる弾はこれで最後、果たして夕莉は認めてくれるだろうか?
「その人物は、『心臓の発作』と口を滑らした直後に、こうも言っています。『急に停電になったわけでもないのに』……まぁ、正確に記憶しているわけではないんですが、そういうようなことを言っていたはずです。その発言の通り、館で停電が起こったという事実はありません。そんな描写は全くありませんでしたからね。しかしこの台詞の問題点は、『部屋が暗かったから、倒れていた人物の生死を確かめられなかった』と片倉が言った後に発言されたものだということです。片倉の言うとおり、物置の中は電灯を点けないと、暗くて中の様子はよく見えませんでした」
それに加えて、遺体は物置の奥の方にうつぶせで転がされていた。しかも、足を入り口側に向けて。入り口近くから見ただけでは、それが誰なのかまではわからないだろう。
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