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「……っ!? 佐谷さん?!」
抱き締められた腕の力が思った以上に強くて、僕は吃驚してしまった。
踏ん張らなければ後ろに倒れてしまいそうなくらい勢いがあって、僕は目を丸くしながら身動きが取れず腕の中で固まっていた。
「ありがとうございます、相楽さん」
「えっと、あの」
「すみません、俺……正直言って色良い返事がもらえることは期待していなかったんです。ただあなたに自分の気持ちを伝えられればそれで良いと。だからこんなこと…、すごく嬉しいです」
「さ、佐谷さん」
三週間前に抱き締められた時と同じだった。
密着している佐谷さんの温もりを、今とても心地良く感じている自分が居た。
僕の体が冷えているのもあるだろうけれど、耳の傍で聞く声や鼻先を掠める匂いも含めて、こんなにも彼との距離が近いことがとても心地良くて、とても嬉しい。この感情も『恋』の一部なのか。
「あの、相楽さん」
「な、なんですか?」
「あの時と同じ告白をもう一度しても良いですか?」
「えっ!?」
自分の顔がカッと一気に熱くなった。
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