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ゴム無しで挿れるセックスは、想像よりもずっと刺激が強かった。
腰の動きが止まらない。何度も何度も繰り返し突いては、もっと奥へと捩じ込んで快感を貪りたくなる。
相楽さんの声はどんどん艶を増していき、足元のシーツには零れた精液が染みを作ってその円を広げていた。
背中から腰までのなだらかな曲線が綺麗だった。
原稿に向かい執筆に集中する後ろ姿も絵になると思っていたが、この人の本当の美しさは色事に身を染めて男を受け入れ、喘いでいるその瞬間に現れるのだと思った。
そして、その最も美しい姿を知っているのは他ではない自分だけ。俺だけに見せてくれる顔、俺だけに聞かせてくれる声、俺だけに開いてくれる体、そのどれを取ってもこの人の美しさには必要不可欠なものなのだ。
流れる汗の一滴すら、愛おしくて狂おしい。
膨らみのない胸を撫でて肌を合わせる。匂い立つのはこの人がもつ独特の肌の匂い。その匂いにあてられているのか、あたっているのか。首筋を噛んで痕を残すと、枕に沈む横顔に近付き、耳元で囁いた。
「――樹月」
「……ッ!」
閉じられていた瞼が大きく瞠ったのは、言うまでもなかった。
涙と汗でぐしゃぐしゃになった顔を持ち上げて、唇を震わせながら名前を呼ばれる。
「さ、たに、さ……今の……っ」
「……」
「今、僕のことを……『樹月』って……」
「……っ」
それからはもう、夢中だった。
相楽さんのナカに自分の精液を出したくて、無言で繰り返し攻め立てた。
相楽さんの問いには答えなかった。答えてしまったら、均衡が崩れてしまいそうな気がして意図的に耳を塞いだ。
イッた後、相楽さんはすぐに気を失うように眠りに落ちてしまい、絞ったタオルで体を拭いていても目を開けて起きることはなかった。
ナカに出してしまった精液は、ある程度は指を入れて外へ出すことはしたけれど、実際にどうなるかは明日の朝に本人が目を覚ましてからでなければ分からない。
暑い時期とはいえ、エアコンの空気で体が冷えないように肌掛けで肩まで覆って眠る体を抱き寄せる。
さっきのことは、朝になったら覚えているだろうか。
勢いに任せて呼んでしまった名前だが、今のテンションでもう一度呼ぶことは眠っているとはいえできなかった。
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