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「ふぁっ……ぁっ、佐谷さん、何を」
腰に触れていた佐谷さんの手が下着の中に下りてきた。
割れ目を辿って下ってきた指は、昨日ずっと彼を受け入れていた所を二本で探り、僕が緊張してキュッと力を入れたところで入口を割って中に入る。
「えっ、ぁ……っ! 待ってください、佐谷さん」
「待つ? 何を? さっきからずっと触って欲しそうな顔をしているのに」
二本の指はあっけなく簡単に入り、お尻の中をグチュグチュと掻き回す音はすぐに僕の耳にも届いてしまった。
あんなに沢山シたばかりなのに、指を入れられたことで中がヒクついてるのが自分でも分かる。そういえば、昨日そのまま中に出された精液はこのタイミングで外へ出てきているのだろうか。この音の正体はそれが入口で絡み合い、粘液と混ざっているからか。
そんな冷静なことを考えていられたのは、ここまでだった。
佐谷さんは僕の体をキッチンへ凭れさせると、後ろを向かせた流れで穿いているハーフパンツを下ろした。冷たいシンクの縁に、頭を上げていた性器の先端が触れた。そのひんやりとした感触は熱くなった体と正反対でとても気持ち良く、うっとりと息を吐いていると手をついて密着してきた佐谷さんに捕まり顎に手を添えられた。
「脱がされて興奮しているんですか、相楽さん?」
「――ッ!」
腰をグッと持ち上げられ、よく見えるように突き出すような体勢にさせられた。
今度は後ろだけでなく、前も同時に。
扱いてくる手は緩急をつけて全体を包み、このままされ続ければシンクに精液をかけてしまうと腰が引ける。佐谷さんの部屋のキッチンを僕のモノで汚してしまうと考えた。ここは食事を作る場所で、セックスをする場所ではない。加えて、恐らくこれからも僕自身もここをよく使い、彼と過ごす時間が増えていく場所でもあると想像が広がる。
そんな場所で、セックスをしてしまったら。
僕はこれ以降も平常心でここに立ち続けることができるのだろうか。
「あっ、あっ、佐谷さっ」
ガクガクと脚が震え、太腿に精液が伝っているのが分かった。
指だけじゃ足りない。もっと欲しい。
届かない所まで擦ってもらう為には、指じゃなくてもっと太くて大きいものを。
「俺、今、持っていなくて……」
下着をズラした佐谷さんが、僕の入口に勃起した性器を宛てがった。
「昨日みたいに、何も無しでいいですよね」
先端が触れただけでも伝わってきた。彼の性器の大きさと太さ。硬いそれは中に入ることで更に質量を増して、お腹の中まで彼のモノでいっぱいになるのだ。
「ア……ッ、あっ、ぁあっ」
十分に解されたお尻の中に佐谷さんの性器が押し入ってきた。
彼に応じて広がる入口。それは僕のものであって僕のものでないような、不思議な錯覚に襲われる。
「ぅっ、く……っ! 相楽さん、ガッつき過ぎ……俺まだ動いてないんですけど」
佐谷さんの言う『ガッつく』は、何のことを言っているのだろう。
後になってから聞いたところ、佐谷さんが中へ挿れた途端、僕の入口がキュウキュウと締め付けてまるで逃さないと言うように噛み付かれた気になったらしい。
そんなこととは露知らず、僕は腰を掴まれたことで背中を仰け反らせてシンクの縁に手をついた。
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