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「佐谷さんの、声で……」
一度呼ばれてしまえば、何度も欲しいと願ってしまう。
「僕のことを、『相楽さん』ではなく『樹月』って――」
さっきだって望み通り下の名前で呼んでくれたのに。
同じ我儘を何度も何度も。こんなことを言うのは、本当はいけないことだろうに。
「さっきも同じことを言いましたけれど、相楽さんは本当に……見かけに寄らず随分とえっちな人だ」
「……佐谷さん?」
「『佐谷さん』ではなく、『真琴さん』でしょう?」
膝の裏に掌を添えられそのまま抱えられながら湯船を出ると、浴槽に比べると比較的広くスペースが取られている洗い場に下ろされ、鏡の前へ座らされた。
「ここ、俺の膝の上に乗って」
「膝の、上?」
「そう。そのままだとよく見えないから……樹月のエッチなところが、もっとよく見えるように」
「……ッ!」
佐谷さんの言葉に動きが止まり言うことを聞かずに床に座っていると、手助けするように脇の下を両手で支えられ膝の上に乗せられた。
「さ、佐谷さん、何をっ」
「真琴。佐谷さんじゃなく、真琴って呼ぶようにと言ったでしょう?」
「……ッ」
こんなに至近距離で言われるのは破壊力が凄まじいものだ。
自分が撒いた種と言われれば言い返す言葉もないが、まだ正気を保っている時に真面目な顔で言われるのは、いくらなんでも反則的行為が過ぎる。
「で? 呼んでくれるんですか? 呼んでくれないんですか?」
「そ、それはっ」
「樹月が呼んでくれないのなら、ココも、もっと気持ち良くはしてあげませんよ?」
「あ……っ! ぁ、佐谷さ……っ」
広げられた脚を鏡に映され、佐谷さんの指が入口を割って中へ入る。
それは直ぐ様また一本から二本へ増やされ、小さく見えていた下の口が左右上下に大きく開いて彼の指を唇で食む。
「あっ、ゃっ、さたにさっ」
「真琴。佐谷さんではなく、真琴です」
「ま……っ、まこ、ぁッ、まこ……まこ、とさ……ッ」
「そういえば樹月は、ココも同時にされるのが好きだったよな?」
二本の指を動かすのはそのままに、佐谷さんは膝を立てて僕の脚が閉じられないように壁を作ると、赤く勃っている性器を包み込み先程と同じようにまた上下に扱き始めた。
「ア……ッ! アッ、あッ」
「凄い。鏡に映っている樹月の顔、凄くいやらしい」
「あッ、ぁん……っ」
「知ってる? いつもこんな顔で樹月は俺におねだりしてるって」
「い……っつも」
「その内ちゃんと教えてあげないとと思っていたけれど、良かった。見られているのも随分と好きそうで」
佐谷さんの性器が入口へと宛てられ、それを見た唇がヒクヒクと彼を待ち望み歓迎した。
「ほら、よく見て。樹月が好きな食事の時間だ」
佐谷さんの語彙力は小説家の僕なんかよりも格段に引き出しが多く多種多様、その使い方も非常に幅が広くバリエーションに富んでいると後からになって評価した。
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