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“ピンポン”―――半分くらい食べ進めた時、来客を知らせるインターフォンが鳴った。さて、いったい誰だろう?僕は口の中の野菜を流し込む為に水を含み、立ち上がって玄関へ向かった。
「相楽さんこんにちは。原稿を取りに伺いました」
「……」
残念なことに、来客の正体は佐谷さんだった。食事中に来るとは、なんてタイミングが悪い。
「午前の予定が早く終わったので、連絡した通り早めに伺いました」
「連絡…?」
「一時間ほど前にメールしましたけれど」
「……メール」
「まさか、また見てないんですか?」
「すみません、買い物に出ていたので気付きませんでした」
言われてみれば、メールの受信を知らせるランプが点灯していたような気がする。一時間ほど前と云えば、買い物から戻ってきてのんびり焼きそばを作りはじめた頃だ。
彼からの連絡は、いつも僕が何か作業に取り掛かっている時に来る。そんなだから十回中八回くらいの割合で気付かなくて、あとでくどくど怒られる。全てはタイミングが悪い。
「全く、あなたという人は……」
すみません、とは言わず黙ってやり過ごすことにした。とりあえず、彼が来たからには部屋に入れなければいけない。僕は渋々、彼を中へ招き入れた。
「食事中だったんですか?」
ダイニングまで進んだところで、テーブルの上の食べかけの焼きそばを見て彼が尋ねた。
そうだよ。僕は今、昼食を摂っている途中なんだ。宅配便か何かだろうと思って顔を出してしまったら、まさかの佐谷さんだったのだ。生活感が分かってしまう都合の悪いものを見られたことで、より一層対応に困った。
ええ……まあ……、などと適当に応えながら彼に対する二の句を探す。
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