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「今までさんざん、あたしたちに汚れ仕事を押し付けてきたくせに……。
国家って本当に身勝手ね……」
「ああ……その通りだ」
同僚たちがストレッチャーで
重傷を負った彼女を搬送しようとした。
だが、彼女は弱々しく右手を振るとそれを拒否する。
そして俺の腕に両手でギュッとしがみついてきた。
「すまない……。
このまま、2人だけにしてくれ」
彼らは困惑したように互いに顔を見合わせたが
数歩だけ後ろに下がると
俺と彼女を2人きりにしてくれた。
乾いた夜風が屋上を吹き抜ける。
今夜は月も出ていない。
代わりに満天の星空が俺たちの頭上に広がっていた。
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