さようならノワール

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彼女の呪いの言葉を聞きながら、 俺は屋上に残った同僚たちに指示を出す。 「慌てるな!落ち着け! 非常階段も含めて階段はすべて使うな! エレベーターもこの騒ぎで停止しているはずだ! このまま屋上で救助を待て!!」 負傷した彼女を病院へ搬送するため、 同僚が救助ヘリを呼んだことを俺は知っていた。 救助ヘリが6人以上乗れる大型で、 かつ到着までこのビルが倒壊せずに持ちこたえてくれさえすれば、 彼女を含めて我々全員は助かるはずだ。 「どうしたの?逃げないの? 逃げ出したかったんでしょう? 仕事からもこの国からも──」
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