プロローグ

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あの日の僕はどこかおかしかったんだ。 高校三年の春、つまり進学して早々に事件は起きた。 学校内で起きた事件、知人A子が殺された。 俺は別に仲が良かった訳でもなく、むしろ逆に敬遠していた記憶がある。 そもそも、大体の高校の女子は俺が思うような華のある人間など、一人も見た覚えは無い。 大体が下品で人を小ばかにするような「ギャル」という人種が多かった。 そんな女は「女」では無い。そう自分自身に言い聞かせていた。 その事件が過ぎても、何も変わらない毎日がまた始まっていた。 今日も普段どおりの喧騒のなか、教室で俺は小説を読んでいた。 ライトノベルなんかが好みの俺は、はたから見ればオタクに見えていたかもしれない。 別に他のやつからどう見られても気になんてしない。近くで煩いよりマシだ。 今日の授業は午前中だけ、そして今は11:30分、授業も後10分程度で終了だ。 するとトントンと後ろから方をつつかれた。振り返れば後ろから小さな紙きれが丁寧に、 折り畳んだ状態で俺に回ってきた。俺は面倒ながらもそれを受け取ると、 開いて中の文を見て驚いた。 『明日転校生が来ます。 男? 女?』 しらねぇ、正直どうでも良い。 しかしこれは本当の話か? 多少疑わしいが俺は正直どうでもいい。人と馴れ合う気なんか無い。 下のほうを見ると、男女の下に「正」の字でいくつか線が書いてあった。 選べということなのだろう。予測して当たった所で景品なんか無いのだが、 刺激を求めていた俺はさまざまなことを思考した。 男なら喧嘩勝りで誰とでも殴りあいそうな問題児、 女ならこっそり無名アイドルでもやってそうな美人。 どっちにしても非現実的。 俺は考えるのをやめ、何の気なしに「女」の下に線を入れた。 それを俺は流れてきた席とは逆の席のやつに飛行機にして飛ばしてやった。 うまく髪の毛に刺さり、そいつは気づいていない。 クラスからはクスクスと笑う声が響いていた。 俺も思わず吹き出しそうになったが、なんとかこらえ、 授業の残り時間が終わった後の行動について色々と考えていた。 今日もあそこであの本の続きを読もう。 妄想は膨らみ、俺は授業の内容も時間も忘れ、自分の世界に入り込む。 授業は後二分だ。
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