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今日の集会場所は近くの廃工場だ。もちろん人など来ない。
俺は会場に直接歩を進めた。
すると、工場の手前200m当たりの所から声が聞こえてきた。
パイプが地面にたたきつけられるような金属音、
その後に叫ぶような声。
うちのグループメンバーの声だ。
俺は重苦しいバッグを近くの茂みに投げ捨て、その工場へと走った。
扉は中から鎖でふさがれているように開かなかった、
ただジャラジャラと金属音が響くだけだ。
「くそっ!!」
俺は裏口の壁穴を見つけ、中に入った。
そこは倉庫らしく、直接作業場に通じてはいないが、
中の様子は伺える様ガラスが張ってあった。
そこから見えたのは、他の不良グループと喧嘩をしていて、
完全に劣勢に立たされていた自分たちのグループが、
ほぼ全員床に倒れている様子だった。
自分たちが10人、相手は5人程度だったが、
どうやら個々が強いらしく、
ほとんど敵に遊ばれているような状態だった。
俺はそのまま、ガラスを突き破り現場へと急いだ。
さすがに音で気づいたらしく、
二人ほどがこちらに走ってきた。
俺は壁に張り付き、近くにあった鉄パイプを二刀流に持ち、
その二人が来るのを待った。
するとすぐに、俺の目の前にその二人は現れた。
俺には気づいていない。
俺は全力で、そいつの背中に右腕のパイプで殴りを入れた。
殴られたそいつは、急に背後を取られたことによる驚愕と殴られたことによる激痛、
肺の空気が一気に抜けたことも相まって地面に伏せてうずくまった。
もう一人が気づき、俺に殴りかかってきたが、
左の鉄パイプで、そいつの拳を真っ向から殴った。
反作用の効いた鉄を殴ったことで、
そいつの拳からは血が流れていた。もう右手は使えまい。
追い討ちをかけるように両手の鉄パイプを
それぞれ無造作に殴りつけた。
しばらく殴っていると動かなくなった。
どうやら、痛みで気絶したようだ。
俺はそのまま仲間のところへ走っていった 。
仲間が走っていったほうから俺が来たものだから、
さすがに相手方のそいつらも驚いていた。
だが、確実に状況は不利だ。
戦い方を計算しても手数で攻めても、負ける確立は大きい。
「リーダー...申し訳ねえです。」
副リーダーの『長崎 哲』が俺に詫びを入れてきたが、
今は返す暇などは無い。
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