帰宅した『何か』

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真夜中に、ふっと目が覚めた。 私が高校二年生の頃の話だ。 枕元の目覚まし時計は、午前二時をすこし回ったところ。 特に、大きな物音がしたわけでもないのに、何故かハッキリと目が覚めた。 季節は、冬。 たっぷりとした羽毛布団に埋れて、もう1度眠ろうと試みる。 うとうとと、眠気がやって来た。 その時。 がちゃり。 玄関の鍵が開けられる音がした。 私の部屋は二階にあり、それほど間近ではないが、鍵が開けられれば静かな室内から音は階段を駆け上がり、深く響く。 微睡んでいた意識が浮上する。 その頃、4つ年上の姉は社会人だったが、遅くとも午後11時には帰宅する。両親はその1時間前にはベッドの中だ。 何か物音でもして、不審に思った家族が外を見に行ったのかも。 そう思考する間に、鍵を開けた『何者か』の足音が、玄関から気配とともに家に入ってきた。 目撃した訳では無いが、確かに床を踏む足音が聞こえる。 足音は、玄関からリビングへ。 さらに一回りして、階段を上がってきた。 不気味さの欠片もない明確な足音は、とん、とん、と階段を上がる。 しかし、そこで私は妙なことに気がついた。
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