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男が、彼女に近寄った。
彼女はその場から動くことができなかった。
男の両手が彼女の首に巻きついた。
彼女は抵抗したが無駄なことだった。
意識を手放そうとしたとき、フラッシュが焚かれた。何度も光は点滅した。
一瞬、男の手が緩む。
彼女はその場に投げ出されて、しりもちをついた。
尻を打ち付けた痛みで我にかえる。またフラッシュが焚かれると当時に男が無数の人間に取り押さえられた。
男が暴れると誰かがいった。
「公務執行妨害、および殺人未遂で現行犯逮捕します」
女性の凛とした声に彼女は呆然とした。
男が別の誰かに引き立てられると、女刑事が彼女に近づいた。
暗闇の中で明かりと言えば刑事が持つ懐中電灯だけだった。
女刑事の顔を認識できないまま彼女はなんとか立ち上がる。
「木城富子さん。あなたも一緒に署に同行してもらいます」
いきなり名前を呼ばれて尻の痛みも首を絞められたことも吹き飛んだ。
ただ驚くばかりの彼女に女刑事が階段を降りる様にと促してくる。
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