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「ちょっと厄介な事件に捲き込まれたのよ。話ををきいてくれる?」
イサコは手帳を取り出した。既に今回の事件ページが埋まっている。
「もしかして最近、犯人が捕まった事件のことですか」
「チェック済みなら話は早いわ。木城富子と石嶋博康のことなのよ」
「それなら興味があります。木城富子さんと石嶋博康さんどちらも黙秘しているそうですよね」
「ええ、現場は写真に納めてあるから石嶋の方は検挙できるのだけれど木城富子さんの方がね。証拠がないのよ」
イサコは黙秘しているふたりの顔を思い出して言った。
ふたりとも無言を貫く表情は憎たらしい。
しかし黙秘はなにかしら隠していることを暴露しているのと同じであるとイサコは考えている。
答えられない理由をなんとしても見つけ出すことが仕事であった。
今日はその事で桃磨と赤石を頼ったのである。
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