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「協力は構いませんよ。僕も高校のときよりは自由が利きます。運転免許採りました。遠くへいくことが出来ます」
桃磨が目線をあげた。ポケットから運転免許書を取り出して机においた。
「え、いつのまに?」イサコは覗きこむ。桃磨の写真写りはいい方だ。
「昨年の春休みを使ってとってしまいました。たまに赤石さんの車を拝借してドライブに出かけます」
「連絡ちょうだいよ。全く音信不通なんだから」
「仕方ないんです。僕は忙しいので」
イサコには桃磨が忙しい様には見えなかった。
「さっきドライブにいくと言ったばかりじゃない」
「そうなんです。事件絡みなのです」
「そうなの、そういうことにしておくわ。今回の話は手伝ってくれるということでいいのよね」
「はい」
「もう、かなり久しぶりにあったんだから喜んでくれてもいいでしょう」
昔と変わらない桃磨にイサコはあきれるばかりだ。
「年は取りたくありません。二十歳目前になんだか目まぐるしい毎日なんです。先日も浮気調査に駆り出されてほとんど寝ていないんですよ。赤石さんも僕も。僕は民事事件向きません。イサコさんのお手伝いの方がいいです。無冠の流星の情報も欲しいので」
「刑事事件は複雑よ。特に動機を探ることが一番難しい。今回はそれなのよ。石嶋さんは殺人未遂には認める傾向にあるけれどどれ以上は黙秘の状態が続いているわ」
「民事の方が複雑ですよ。人の感情を掘り起こす作業が難しいです。刑事事件、特に殺人はいくつかのパターンがあるので想像しやすいんです」
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