第一章 出会い

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見た目には、原宿などにいる子達がおしゃれとして身に着けている丸眼鏡に、高級そうではないにしろ着流しを着用して、それだから風呂敷なのかとも思うが、でも、髪型は少し癖のある猫毛で栗色にふわふわとしているが、ボサボサと整えられている感じは伺えない。そんな、おしゃれなのか、はたまたおしゃれじゃないのか理解できない外見に、中身は、ずっと笑っている楽天的な性格。友達にいたら、すごく楽しく過ごせそうで人気者間違いなしの性格だが、どこか掴みどころのない感じが、近寄りがたい。そんな、勝手な分析を終えたところで、彼は、また、ニコリと笑った。 「考え事は終わった?」 「!?」 「そんな驚かなくても、読心術なんて心得ていないよ」 そう言われて、観察力の高い人だと関心した。それと同時に、この人には本音で話しても怒らない寛容さがあるのだと、ニコニコと笑う表情や冷静に人を観察する力が高い所に、そう感じた。だから、そのまま、ずっと疑念に感じていた事を口に出すことに決めたのだ。 「あの、道沿いに出してあった看板ですが、どういうことなんですか?」 この店へと足を運ぶきっかけとなった、あの“看板”。そこに書かれていた文句のおかげで、今のこの状況を招いたと言っても過言ではなくて、それを知りたいと思ったから、入った。これで、道理も叶っている。知りたいから、入ったという。なのに、まぁ、おいでよと、焦らすかの様に、奥にある一段上の部屋へと案内されて、畳の上に絨毯を敷いてその上に机とソファが置かれ、更にアンティーク感を醸し出す、そんな部屋のソファに座る様に促される。それに、遠慮がちに座り、彼は一旦、更に奥に消えたが、手にお茶と和菓子を載せたお盆を手に戻ってきた。
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