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意識が朦朧としている。
私には家族がいた。妻と娘が1人。ある日の休日、妻と娘がデパートに買い物に行った。私は家族サービスをあまりすることは無かった。その日も私は家で1人寝ていた。夕方の5時、6時と時間が刻々と過ぎていく。
夜の9時だった。警察からの連絡が来たのだ。妻と娘は帰らぬ姿となっていた。
私は孤独になってしまった。最初は周りの人も優しくしてくれたがいつしか私の苦しみも忘れられていてた。仕事もうまく行かずに辞めてしまった。
私には何も残っていない。もう、生きる意味が無いのだ。車に七輪と石炭を乗せて山奥に車を走らせた。なれない手つきで車の隙間にガムテープを貼り付けた。石炭に火をつけ、私は体を楽にした。
振り返ってみると私には妻と娘との思い出がない。こんな事ならデパートに一緒に行くべきであった。
私は後悔しているのだ。家族に関心を持たなかったこと。大きな愛情を与えなかったことを。
私には生きる資格がない。だからこの道を選んだのだ。
一生覚めることない目が何故か冷めてしまった。気がつくとベットに横たわっていた。生きていたのだ。
話を聞くと車内で倒れている私をたまたま通りかかった人が助けてくれたらしい。しかし私は妻と娘がまだ生きなさいと言っているような気がしたのだ。だから私は生きなければならない。あの2人の分まで。
自殺未遂による一酸化中毒で体はうまく動かない。妻と娘が亡くなって精神的にも立ち直れていない。
「だから生活保護をください」
「不可能です。だって結婚歴ありませんし、バツのない独身ですよね?
おかえりください」
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