一章

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ゲートを潜り抜けると、眩いばかりに輝く太陽に目が眩む。少しだけ目を瞑り、ゆっくりと目を開くと見慣れた、数年前まで嫌という程見た景色に懐かしさを覚える。 (やっと...やっと帰って来れた...) 「遅かったじゃない」 懐かしの光景に目を奪われていると、背後から声が掛かった。声の方を見ると、ハコフグの様にむくれた幼馴染みの姿があった。 「遅かったって...無茶言うなよ」 幼馴染みの物言いに苦笑しながらも、同時に例え難い感情が湧き出てきているのを感じる。 数年前まではこのやり取りが普通だった。でも、そんな日常を壊したくて願った。すると、神の気まぐれかただの偶然か...今になっても分からないが、人では無い異形の生物がある場所から侵入してきた。 正直、怖かった。あんな生物見たこと無かったから。 でも、それと同時に好機だとも思った。 好きで好きで堪らない...でも、俺なんかにはとても釣り合わない幼馴染み。彼女を守れば、ついでに人類を守れば人並な自信は付くと思い、力は無かったが一心不乱に戦った。 世界に蔓延る異形の生物を倒し終わった時、やっと終わったと思ったのに...国連のバカどもはゲートの向こうにいる奴等も駆逐して来いとか抜かす。 あの時は流石に逃げてやろうと思ったね。ゲートの向こうにも、俺達と同じ人間が居て、日々の生活を営んでいた。そこも守った。感謝され、更に頼まれたのはゲートのさらに向こうの安寧。 ...今思うと、かなり頑張ったんじゃないだろうか? 無限に続くと思われた戦いも、終わりは呆気なかった。資源が欲しくて侵略戦争を仕掛けただけだってさ。 和解させてから戻る最中も色々な人達に感謝され崇められたが、そんな事はどうでもよかった。感謝されたのは嬉しかったし、頑張ろうと言う気力にもなった。
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