隆弘の本気

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ジョリ。ジョリ。ジョリ。 覗き込むような姿勢で、少しずつ刈り取っては、毛を乗せたカミソリの刃を、小まめに洗面器の湯に泳がす。 躊躇もない、その手際のよさに、やはり馴れを感じた。 目線しか動かせない私からは、見える部分が限られているけど、多分かなりツルツルに近付いている。 最初は緊張したけど、失敗して余計な所を切られる心配は、もうなくなった。 それよりも、剃る為に陰部を軽く押さえる指に、意識が集中する。 刃の位置が移動する度に、添えた指も移動する。 いやらしい動きは一切ないのに、さっきから足の震えを我慢していた。 「痛くありませんか?」 隆弘は、作業中ほぼ無言なのに、同じ事ばかり訊いてくる。 「……ない。痛ければ言うってば」 「それもそうですね。もうすぐ終ります。あとは、ここだけですから」 「―――あっ」 指が突起に触れた。 最後に刈り取るのは、突起近くの毛。 出っ張った部分を、誤って傷付けないように、指でカバーしている。 ジョリ。ジョリ。 少し剃っては、湯に刃を泳がす。 その繰り返しの間、突起をカバーする、指の動きと力が微妙に変化する。 「……ん…はあっ…」 「あともう少しですから、動かないで下さい」 ここで腰を、くねらす訳にはいかないけど、我慢が辛い。 握り拳で、終わるのを待った。
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