洗礼

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「―――――何ですかこれ!?」 小部屋の壁際に並んだ、沢山のモニター画面。 と、たぶんそれ用の装置。 モニターと、装置のボタンのところに、番号がふってある。 画面は全部消えていた。 一輝さんが、その内のひとつの画面をつけた。 モノクロに分割された映像。 どこかの部屋の中。 音声はない。 二人の顔も、ハッキリとは分からない。 でも。 「クライアントの部屋!?―――これ盗撮じゃ」 「違う違う、そんな目的の物じゃないよ。こういう所は色々物騒だからね、各部屋にカメラはついてるよ。モニター全部、それぞれの部屋用」 「でもこれじゃ、してる所が見えちゃうじゃないですか」 まさか私が以前使ってたホテルにも、こんな物が!? 「普段はつけないよ。怪しい客が来たり、何かあった時に、中を確認する時だけ」 「じゃあ、私が今観てるのは何のためですか」 「安全確認。商品を中に入れちゃうと、そのあとどうなってるか分からないからね。だからこうやって、最初の様子を見ておいて、大丈夫そうなら、すぐ消す。ヤってるとこなんか観ないよ。ただ、時間になってもクライアントから連絡がなかったり、気になることがある場合は、申し訳ないけど覗く。これ毎回の作業だから覚えといて」 そう言って、モニターを消した。
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