全員悪女＊＊女のための売春組織＊＊

洗礼

「こんばんは」

クライアントの指定場所に着くと、車を降りて声をかけた。

仮の社名も、自分の名前も、クライアントの名前も、外では口にしない。

こちらは顔写真で確認出来るし、クライアントも、事務所で何度か顔合わせしているし、私がスーツにつけているピンバッジで【そこのスタッフ】と分かる。

送迎の時だけは、女組もスーツ。

すぐに着用出来るように、ロッカーに常備してある。

「では、行きましょうか。どうぞ」

後部座席のドアを開けて言う。

緊張で、笑顔が引きつる。

クライアントが乗り込んでから、私も運転席についた。