273人が本棚に入れています
本棚に追加
戒斗はスポーツブランドのハーフパンツ姿で、上半身は首にスポーツタオルを引っかけているだけの裸だ。
この季節だからおかしくはない。
けっして貧弱ではない頼と同じ恰好でもあるのに全然違う。
簡単に云うなら、成熟した大人な男の裸。
有吏塾で鍛えられたと云っただけあって、洋服を着ているときにはわからなかった、精悍としか表現しようのない躰が目のまえにある。
叶多の脈拍が急速に跳ねあがる。
「戒斗、どうしよう……」
「……どうしたんだ?」
「心臓、壊れそう」
そう云った叶多の首筋の脈がぴくぴくしている。
「いまからそんなんでどうするんだ? 逃げるか?」
叶多は強く頭を振った。
戒斗は口の端で笑う。
「あんまり出てこないようだったら襲いにいく」
戒斗が叶多の鼻を摘みながら冗談めいて云うと、少し叶多も落ち着いてうなずいた。
「じゃ、入ってくる」
若干声を上ずらせて云うと、叶多は立ちあがった。
最初のコメントを投稿しよう!