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「……戒斗……」
叶多は戒斗の肩に伏せていた顔を上げると、力なく囁いた。
やっと解放された躰もまったく力が入らず、まだ息もあがっている。
戒斗も顔を上げて叶多を見下ろし、乱れた長い髪を梳いた。
「どうだった?」
「……わかんない」
そう答えて叶多は静かに泣く。
未知だっただけに、戒斗が導いた快楽の世界はそれほど強烈なことだった。
反して戒斗は笑みを漏らす。
「泣くくらいよかったらしい」
叶多を泣くに任せてしばらく見守ったあと、戒斗がからかうように云った。
「どこか……さらわれていっちゃうかと思った……」
「だから、それが“イク”ってことだ」
「……戒斗は?」
いくら無知でもまだ終わっていないことくらいは叶多にもわかる。
一向にそうしようとしない戒斗に思いきって訊ねた。
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