273人が本棚に入れています
本棚に追加
「おれの毒。叶多にも中毒になってもらわないと割に合わない。おれを惑わせる罰だ」
身勝手に道理を云い張ったあと、戒斗は叶多のくちびるに舌を這わせた。
叶多も答えて舌を覗かせ、戒斗のくちびるを舐めた。
が、そこまでだった。
叶多はぐったりと力尽きる。
それなのに戒斗の手がまた胸におりる。
まだ感覚は剥きだしで、躰はそれだけのことにぴくりと反応した。
「ん……っ……戒斗っ、もう無理っ。力が入らないの!」
叶多は戒斗のくちびるを逃れ、切実に叫んだ。
そのとおり、引きとめようとする手さえ思うように動かせない。
触覚器官だけが息づいていて、運動器官は自分の躰ではないかのように役に立たなくなっている。
同じことを繰り返されたらきっと耐えられない。
「明日もやらせてくれるなら」
戒斗はにやりとして露骨に条件を出す。
最初のコメントを投稿しよう!