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叶多は何も考えずに、いま逃れられるならとうなずいた。
「わかった。執行猶予というところだ」
戒斗は起きあがって叶多の躰を抱えあげ、壁側に位置を変えると照明を消した。
戒斗はふたりの躰にタオルケットをかけながら、左腕を叶多の頭の下にくぐらせた。
叶多の裸体が戒斗の腕のなかに引き寄せられる。
戒斗の腕は何よりも心地よく、疲れもあって叶多はまもなく眠りに落ちた。
戒斗の云った『明日』が二十四時間後のことではなかった、ということに叶多が気づいたのは夜が明けようかとする頃だった。
遅い朝食が戒斗の云ったままに、ご飯と海苔で充分なくらい、賞味させられた砂糖漬けの毒は満ち足りて甘く、叶多の躰を侵した。
つらい。苦しい。恥ずかしい。
けれど。
やさしくない戒斗も好きかも。
すでに中毒の兆し。
-The first step is the conclusion.-
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