273人が本棚に入れています
本棚に追加
「そう云うと思った。心配しなくていい。おれは、叶多に変わってほしくないし、本当を云えば、特別な仕来りがあるわけでもない」
叶多は意味がわからずに首をかしげ、戒斗は、それ以上は答える気がないことを肩をすくめて示した。
「叶多、シャワーさきに使うなら――」
「ううん、明日の用意あるから」
「朝から力入れなくてもあるもんでいい。ご飯と海苔、パンとコーヒーとか」
「そんなに簡単でいいの?」
叶多は可笑しそうに目を輝かせて問い返した。
「酒を飲むことが多くなって、朝からそんなに食べられなくなった」
「じゃあ、ラクする」
戒斗は部屋を出ていく叶多のあとを追いながら、短く笑い声を漏らした。
後ろから肩を抱きこむと、びっくりした叶多は小さく声をあげる。
最初のコメントを投稿しよう!