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元々母は身体の弱い人で、いつも病院に通っていた。
膠原病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、骨粗鬆症。
それに軽い鬱病。
夜は眠れないからと毎日睡眠薬を飲んでいた。
なのにいつも自分より他人を優先するような、優しい人だった。
「何かね、最近息が苦しいの」
「は? じゃ、すぐ病院行こう」
「いいのよ、アンタだって忙しいでしょ?」
この頃の母は体力もかなり落ち、杖をつきながらフラフラと歩くのがやっと。
私が車で送って行かなければ病院には行けない。
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ! ほら、支度して行くよ!」
半ば叱りつけるようにして母に支度をさせ、いつも母が通っていた病院へと連れて行く。
そして診察室から戻ってきた母は、鼻にチューブをさして酸素を吸入している状態だった。
「すぐに入院するようにって言われた。先生がね、息が苦しいのは膠原病の合併症で肺の半分が固まって機能してないからだって……」
弱々しくそう説明した母はそのまま病院に残り、私は急いで入院の準備をする為に家に戻った。
そしてこの日から一年近く、母は家に帰れなくなった。
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