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ドラマのように泣けないから、私は冷たい人間なんじゃないかと思っていた。
母の死を悲しんでないんじゃないかと。
確かに母が亡くなった時、もうこれで母は苦しまなくていいんだ。
私も病院に通う生活から解放されるんだ。
そんな風に思ったのは事実だ。
でも、そうじゃなかった。
確かに私は、母の死を悲しんでいた。
あれもしてやれば良かった、これもしてやれば良かった。
そんな後悔ばかりが溢れてきて、胸が苦しくて涙が止まらない。
「ごめんね、ごめんね……」
もう涙で滲んでいて、母の顔が見えない。
それだけ言うと、私は棺桶の小さな蓋をそっと閉めた。
帰って来たね、良かったね。
これからはずっとこの家に居ていいのよ。
『母さん、おかえり』
【終】
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