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~仁志21歳、5月~
…仁志はキャンパス内にある彼のお気に入りの場所…品の良いクラッシックなデザインのベンチに腰掛け…
…彼の性格上、至極当然の事として…中央に、であるが…
スマホにてLINEの真っ最中であった。
相手は言わずもがな…
「あのさ~、俺の話、聞いてる?」
そんな仁志に呆れた声が投げかけられる。
「聞いてる。10人までなら同時でも問題無い」
「さよか。…ったく、お前は聖徳太子かいっ」
再び呆れた声を投げかけるのは匡で…
彼の傍若無人っぷりに何時も振り回されているメンバーの一人であった。
「まあ、いいや。んじゃ、話の続きな。お前さあ、『俺達の活動を大っぴらに出来る方法がある』って言ってたよな」
「ああ」
…匡の話の元は…
仁志が大学進学した時は、彼一人であった為、特に問題は起こらなかった。
が…今年、匡達周防一族の者が高等部から進学したのだ。
大学は高等部からの進学組のみならず、外部からの進学生も居る事から、周防一族の者に対する理解の全く無い学生に対する対応について、匡は心配していたのだ。
「ど~すんだよ。理事長は一応、一族経営になってっから守安のおっちゃんだけどさ。
何せ、人数が桁違いだし、そんなの相手に、高等部の時みたいに集合かけて説明会なんてやってたら面倒臭え以前に、絶対、胡散臭く思われるって」
…長老衆“守安”は祐希の叔父であった為、匡は“おっちゃん”と呼んでいた…
「そうそう、昔っから良くあるんだけどさ、有名大学で怪しげな宗教団体なんかが勧誘活動するらしいんだわ。
それと思われたらマズイべ」
匡の話に同意するのは一般人代表というべき立ち位置に居る新庄。
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