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落ち着かない様子の彼
もしかして今から帰っちゃうとか、無いよね?
「あー、ごめん、俺……」
ひぐらしの声が、沈黙を引き立てる。
周囲の楽しそうな声が、下駄の音が遠ざかる。
「忘れてたけど」
視界が黒くなった。彼のシャツだと匂いで気付く。
「その、いつもより大人っぽいから、じろじろ見てごめん。あんまり見ないようにするから、横歩いて良い?」
体の半分が、体温を分ける。
頷くしか出来ない。
「もいっこ、忘れてたけど」
手首を握られて、引き寄せられる。彼が上体を折って耳元で
「俺のものになって」
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