私の話

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そんなとき、大型の台風が近付いていると 父に言われた。 『仕事で泊まりになる。 一人にして悪い、けど、なるべく早く帰ってくる』 父は、そう言って出掛けていった。 その時、案の定、台風が来た。 どしゃ降り 全然、怖くない。 その日は、直ぐに眠りに着いた。 けど、父は、帰ってくることはなかった。 一週間たとうとしていて、 食料も底をつきかけていた。 そうすると、突然、ドアの鍵が開いた。 父が帰ってきたのだと思い、出迎えると そこには、知らない人が沢山いた。 「どうして、子供が!」 父と同じ年くらいの女の人がいった。 僕も状況が掴めずにいた。 「君は、どこの子?」 僕は、震える声で 「あなた達こそ、誰ですか?」 聞くと、 「高松小太郎(コタロウ)の妻だけど」 つま? 小太郎は、父のこと。 「お、お父さんはどこですか!」 そう言った途端 「何、言ってるの? 私達は結婚して十五年も経つのよ。 私の主人は浮気なんて! ましてや、子供、愛人の子なんているはずないじゃない」 この人は、何を言ってるのか、 分からなかった。 「落ち着いて下さい、奥さん」 男の人が泣き崩れる、妻だと言う人をなだめていた。 僕は、訳が分からなかった。 「お父さんは、どこ。 何でいないの、帰ってこないの」 「貴方の所なんかに帰るわけ無いじゃない」 頭がパンクしそう。 何が起こっているか、分からない。 そんなとき。 「叔母さんを連れていって」 若い男性がそう言った。 その人は、僕に、 「俺は、杉山京介(スギヤマキョウスケ) 君の名前は」 でも、僕は――。 「お父さんは、どこ!!」 「小太郎さんは、台風の日に事故に あって亡くなった」 「ウソ」 「嘘じゃない」 お父さんが居ない、もう、会えないの。 いや、嫌だ、はぁ、はぁ、嘘だ。 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」 僕の目の前が真っ暗になった。
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