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【1】
カリフォルニアの閑静な住宅地、オレンジカントリーにはペンシルバニアファミリーのミニチュアを原寸大にしたような立派な家が軒を連ねている。どの家のガレージにもランボルギーニやスポーツカーなどの趣味のよさげな車が停められていたり、噴水が出る芝生もあれば、広々としたプールもある。
別名、魔術師の館。ケイト・モスリンのお宅は住宅地の奥にある一軒屋だ。
「あなたがカンザキサンと、カゲヤマサンですね。初めて実物見ましたが、驚きました」
リムジンの運転手、ジャクソン・カーさんは私の方を見て言った。
驚かせてしまってごめんなさい。パーティーなんだからもう少しかっちりした格好で来たかったんだけど、 スーツやドレスは買えないから、神埼くんは私服のみだし、私なんかはフーターズガールの服装で来るしかなかったんだよね。プールもあるなら、ビキニとかも欲しかったな。
「すみません」
「いえ。でも日本公演でされていた、異世界や異次元からものを召喚するマジックや、異能で火を点けたり、ダンジョンから脱出するダンジョンマスターマジックはケイト樣は賞賛してましたよ」
「え?」
と言うかそれ。アポロシアターで散々叩かれたネタなのに?
「今夜は新作マジックを特別に見せてくれるそうですが、私も楽しみにしています」
理解者がいるのはすごく嬉しい!
だからこそ、神埼くんにはパーティーに似合うマジックを頼んであるし、そうして貰わないと私達のの日米関係がこじれてしまう。
彼の事だから、ちゃんと考えてくれてはいるんだろうけれど、不安だ。
そんな私の不安をよそにリムジンはケイトの家のガレージに到着した。
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