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「取り敢えずマジックするまで酔いを覚ましなさい!」
飲酒マジックは事故のもと! しっかり水を摂らせてアルコールを水分分解させないと。私はテーブルに備えてあったミネラルウォーターをグラスに注ぐと、神埼くんの喉元にぐいと流し込んだ。
「こんなに飲んだら水中毒で死ぬってゴボボボボ......」
「マジックはするなら飲むな。飲んだらするなよあんたがちゃんとマジックの説明してくれないと困るんだからね」
「それは飲酒運転じゃないか!」
「お二人は仲ムズカシイですね」ケイトはそう言いながら掛かって来た電話に対応すると表情を変えた「今日はパーティーに来られない? 就活があるから落ち着かないと無理? 判ったわ、じゃあまたねビル」
「どうしたんです?」
私が訊ねるとケイトは溜め息混じりに話し始めた。
「もう一人来る筈のビルが今日は参加出来ないそうです」
「就活と言ってましたが」ケイトの会話から気になったのか神埼くんが訊ねた。
「魔術学校を卒業してから就職活動を頑張っていますが、未だに採用を貰ってないらしいです。今日は気分転換にと思って招待したんですがザンニンです」
それは残念だね。
魔術学校を卒業して自分のやりたいことが出来る人もいれば、そうでない人もいるんだ。こう言うパーティーに参加出来れば気分転換になるんだろうけど。
「ビルは元々変わった性格だからね」ミンナさんが困ったような顔でビルさんの事を語り始める。
「学校での素行が悪かった訳じゃないんです。寧ろ優等生と言うか模範生と言う感じでした。ですが彼は自分のマジックが一番であるということを自負し過ぎるあまり、他人にそれを押し付けてしまう癖がありました」
待てよ。このパターンはもしかして、それで他の生徒を摩擦を起こした結果、虐めの対象になったケースじゃない?
「それに対してはケイトさん達は?」
仲のいいマジック仲間なんだから止めていた筈だ。
「私達で止めてはみたんですが、魔術学校でもスクールカーストの壁があり、ビルを匿ったとして私達も悪者になってしまいました。ビルはそこさえ除けば、本当にいい友人だとそう思いました」
そこから考えると就活と言うのもあるけど、個人的に参加しにくいんじゃないかなと思うな。不本意とは言え自分のマジック仲間を悪者にしたんだもん。
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