2・魔術師の館

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 「お話しはこの辺りにして、今日はパーティーの方、楽しんで下さいね」  ケイトはそう言うと、ミンナさんと一緒に本田さんとビーコン監督の座るソファに向かった。本田さん達はなにやら、ドラマの話しをしているようだが。  「テレビ局が嗅ぎ付けてくる前に、ドラマの話を進めたいんだ、お前が書いた『着ぐるみのジョー』なんだが」  本田さんはこっちじゃあ着ぐるみのジョーってミステリー書いてるんだ。と言うか、ちょっと待ってビーコンさん! 今テレビ局が嗅ぎ付けるって聞いたんだけど。どういう事?  「あの、テレビ局が来るって初めて訊いたんですが」  「ここではケイト位の有名人だと、パパラッチが何人も張り込んでたりするのが常なんだよ。そいつらを通じてテレビ局が撮影で押し掛けて来るって訳さ」  ビーコン監督はカーテンの方を指差してそう言った。  「誰かに見られてるような視線を感じたことはあるだろ? ドアの隙間とかクローゼットの隙間とか、それはそいつらの仕業だよ」  本田さん。それ多分別の話しだと思う。  「俺は会話の内容さえ訊かれなければいい訳だが、話の続きだ。あれはオール日本ロケで行こうと思うが、日本の俳優で当り役なのはいるか? カンザキやヒカリは年代的に知ってそうだな」  「俳優ですか」刺のある感じなら北川景子さん、気の強い系なら竹内結子さん、清純派ならハルさん、コミカル系なら上野樹理さんやイモトアヤコさん。ドロドロ系だと木村多江さん。家政婦なら市村悦子さんか松島菜々子さん。警部補だたら田村正和さん。  その前にどんな話しか判らないけど。  「どんな内容なんです?」  「遊園地の着ぐるみの仕事していた男は、着ぐるみを使って麻薬をある組織から盗んで逃げたんだけど、着ぐるみがとれなくなってしまう。そして盗んだ麻薬の臭いで発狂し、逃亡先で暴れ回るんだ」  うひゃあ......冒頭からぶっとんだ話だ。  「逃亡手段に選んだ地下鉄はパニックになり、あわや地下鉄は脱線してしまう訳だが、盗まれた麻薬を巡ってFBIとマフィアが動きだし、着ぐるみの逃亡犯を捕まえようとする。しかし、発見された犯人は既に着ぐるみの中で息絶えていた......」  
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