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私のイメージしていたミステリーと全然違う!
クローズドサークルで起こった連続殺人事件をイケメン探偵がじっちゃんの名にかけて推理して犯人はこの中にいる展開になり、そこにはオクラとめかぶと納豆と山芋混ぜたようなウェットな動機を持った犯人がいて、そう言うのだと思ってたのに......
「それは推理ではないような」
「こっちのミステリーはそう言うタイプの作品が喜ばれるんだ。半ば、正体不明の怪人からワーキャー言いながら逃げ回るホラー映画っぽいけどね」
そう言う事なら、ヤクザ役は松方弘樹さん。刑事役は高橋英樹さん、警部補は田村正和さん、犯人は暴れ回る訳だから、あばれる君。脚本はやっぱり三谷幸喜さんに決まりだ。
「でも刑事役は色っぽい女性がいいなぁ。知英とか」
ビーコン監督。その人日本にいるのはいるけど韓国の人だからね。
「それはいいアイデアだね。因みに日本はここみたく地下鉄がバンバン通ってる地域は少ないから、東京か大阪ロケに絞った方がよさそうだよ」
本田さんがビーコンさんに意見した。
「そのマジックには幾つか穴がありますね」
神崎くんが初めて突っ込んだ質問をした。ミステリー好きの血が騒いだか。
「穴?」
「着ぐるみを着て長時間動くには、空間を充分に認識出来る視界と、五本の指を使って、物を持ったりするのに穴を開ける必要があります。穴を開けることで盗んだ麻薬を着ぐるみの中に積めたり、凶器を出し入れしたりするマジックが成立しますよ。もしくは、誰かと交代するとか」
なる程。それなら着ぐるみの中に充満した麻薬の臭いで発狂する設定も頷ける。
「神崎、言ってはならんことをサラッと言ったな」
ビーコンさんは溜め息混じりにそう言うと本田さんの肩をポンと叩いた。
「読んでない人にネタバレされたの初めてだよ」
「ネタバレって......」神埼くんは未読の小説をしちゃった訳?
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