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神埼くんが訊ねたところで誰かが口火を切った。
「ちょっと待て、誘拐された女性が車のナンバーを確認出来る訳がないだろう」
白人男性だ。
「ご指摘ありがとうございます。言われてみれば誘拐されているのに車のナンバーを冷静に確認することは出来ないでしょう。それにアマンダさんは助けを呼ぶのに必死だったと言ってました。詰まり心理的に余裕はなかった。他にお気付きの点があれば、お伺いしましょう」
神埼くんは白人男性の指摘を促した。
「まずは写真の場所からエネルギーをキャッチする件から。誘拐した場所が家から近すぎるだろ」
「確かに誘拐場所がアマンダさんの家から近い。アマンダさんは違う場所で誘拐されていたんですね」
「それと彼女の死因についてだが、遺体がまだあがってもいないのに、拘束されたとか、殴られたとか、刺殺されたとか断定出来る」
「仰る通りです。遺体がまだないのに死因を特定出来ません」神埼くんはそう言うとニヤリと口角を吊り上げた「これで犯人は判りました」
観客達は神埼くんの言葉に一斉にどよめき始めた。
「その前にお名前を宜しいでしょうか?」
「ジム・トンプソンだ」
「ありがとうございます。ジムさんはこうは思わなかったんでしょうか『アマンダさんは生きているんじゃないか』と、先程は『まだ遺体があがってもいない』そう仰いました、これはアマンダさんは既に殺害されたか、これから殺害される予定だということを意味するんです」
マジックはいつの間にか、神埼くんとジムさんの推理対決にすりかわっていた。
打ち合わせにはなかったけど、勝手にアドリブで展開したようだ。
「その可能性はあるが、お前もスマホを破壊されたとでたらめなことを言ってただろう」
「言いましたよ。アマンダさんのご両親に確認とりました。お言葉ですが、僕はアマンダさんに死因が存在するのかどうかさえ全く判りません。加えてここのお客様も判らないと思います。死因がでたらめだと言ったあなたを除いては。何故ならアマンダさんは本当はどうなたったかを知っていたらです」神埼くんはそう言うとジムさんに掌を差し出した。
「アマンダさんを誘拐した犯人はあなたです」
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