1768人が本棚に入れています
本棚に追加
「何だか、お客様がいらっしゃったそうで、少し遅れるってカレンちゃんが言ってました」
「ふーん」
お客さ
ザパァン
「ぶっは! げほげほっ!」
「あははー、また引っかかったー!」
カレンが後ろから浮き輪を掴んでひっくり返しやがった。俺と、俺の上に乗っかっていたミアも水面に叩き落される。
「このガキ、いい加減にしねーとしばくぞ!」
「あたしを仲間外れにして二人で楽しそうなことしてるのが悪いー!」
「だったら素直に混ざりにこいや!」
いきなり浮き輪から引きずり降ろされるのは心臓に悪いんだよ!
と。
「……楽しそうなことしてるわね」
「お、リッカ」
すぐそばのプールサイドから、リッカが俺たちを見下ろしている。その目はどことなく羨ましげだ。
「こんにちは、リッカ様」
「師匠も一緒に遊ぼー!」
「ええ。そうしたいのは山々なんだけどね……」
どうしてかリッカは目が映ろだ。どことなく疲れているようにも見える。
「まあとにかく着替えてこいよ。水着は持ってきてんだろ?」
リッカはいつもの軍服姿のままだ。どうやら転移してすぐこっちに来たらしい。
「その前に、紹介しておかなきゃいけないやつがいるのよね。……こっち来なさい」
紹介? 何だ? 新しい部下とか?
「どーも皆さん、昨日ぶり☆ 王国軍諜報部所属、ヒガン・カレギシです!」
「」
眼球が真下に落ちるほど唖然とした。
「あ、昨日のねーちゃんだー」
俺とミアは言葉を失う。カレンだけは呑気に笑っていたが。
紫色の髪。妖精じみた顔立ち。リッカのものと似た軍服を着崩しているのは、俺たちのよく知る人物だった。
最初のコメントを投稿しよう!