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それを確認しつつしみじみと呟く俺を見て、弟子が呆気にとられたような顔をしている。
「……お師様、それはなんですか?」
「見てわかるだろう。マンドラゴラだ」
「あのあの、どうしてそんなにたくさんあるんですか?」
「この間知り合いから種をもらったからな。大量生産中なんだ」
魔法植物マンドラゴラの育成は魔力を与えておけばどこでもできる。
日の光が当たらない場所でももちろん可能だ。俺は幸い魔力量だけは人並み外れているから、いくらでも同時に栽培することができたりする。
「な……な……」
平然とそう言った俺を見てミアはしばらくぷるぷると震えていたかと思うと、
「なんでそういうことは早く言ってくれないんですかぁぁぁ! マンドラゴラさんが貴重っていうのは嘘だったんですか!? 私本当にお師様が怒ってるかと思ってたのに!」
「馬鹿を言うな。あれはお前がびびりまくってるのが面白かっ――俺には師匠として弟子の失敗はきちんと叱る必要があるんだ」
「本音が全然隠しきれてないんですが! っていうか誤魔化す気もないですよね!?」
威嚇する猫みたいに唸るミアを適当にあしらっておく。
俺がこいつをからかうのはいつものことだ。いい加減慣れればいいのに。
などと思う俺をよそに、ミアは顔を真っ赤にして、手をぶんぶんと振り回しながら――
「本当に今でも信じられません! こんないじわるで横暴でひねくれた人が、魔王を倒した伝説のパーティーの一人だなんて!」
何度目とも知れない絶叫を上げたのだった。
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