百の剣士を打ち破りしは

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それでも何とか他の転世者である剣士、モンスター使い、ヒーラーと一緒に魔王を討伐したのが丁度そこから一年後のこと。 俺もいちおう女神にもらった比類なき魔力量を武器にそこそこ活躍したのだが、もともと魔王を倒すためにこの世界に送られた俺たちは、その時点ですることがなくなった。 そんな理由から伝説のパーティーとまで呼ばれた俺たち四人は、魔王討伐報酬の金をもらったあとそれぞれ好き勝手に生きることに決めた。 俺はといえば、宮廷魔術師団の指南役やら、魔法具研究室やらからスカウトはきていたもののなんかもう疲れたので王国のすみっこに住み着いて好き勝手に魔法陣の研究とかをやっている。 せっせと新たな魔法陣を開発したり、偶然拾った幼女を弟子にしていたらいつの間にか三年が経過。 そんなわけで現在、十八歳となった俺は悠々自適な隠遁生活を送っているわけだ。 ××× 「お師様お師様、これはなんの魔法陣ですか?」 「これか?」 居候兼弟子の銀髪幼女が俺の作業机を覗き込んでいる。 机の上に載っているのは、魔力を通す紙である『感応紙』に円形の陣を書き込んだ、一般的な形の魔法陣だ。 この世界における魔法陣とは呪文を図式化したもので、これに魔力を流し込むと魔法が発動するという代物だ。普通に呪文を唱えるよりも出力は落ちるが、魔力の扱いが下手でも(※ここ重要)魔法が使えるようになる素敵アイテムである。 そう、この世界には魔法がある。 魔力を媒介に超常現象を引き起こすという、創作物でおなじみのアレだ。 発動方法は主に二つ。『詠唱』と『魔法陣』。呪文を口で言えば詠唱、図にして書けば魔法陣に区分される。俺の専門は後者、つまり魔法陣だ。 そもそも俺は純粋な地球人なので、この世界にきた当初は女神から受け取ったはずの魔力を知覚することすらできないほど魔力の扱いが下手だった。 ところが魔力の扱いが死ぬほど下手な俺でも、魔法陣を介すると魔法が使えるのだ。必然的に魔力量以外に取り柄がない俺が戦うすべはこっちに限定される。 魔王討伐後はもっぱら俺の研究テーマになっており、今俺がやっているのも新しい魔法陣の開発作業というわけだ。 「ま、見せてやるよ。ちょっと離れてろ」
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