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「この映像版十分の一リッカは、その第一歩だ。さらに、この魔法陣にはこれだけで商品となりうる付加価値がある」
「付加価値? 魔法陣に組み込まれた技術のことですか?」
「ハズレだバカ弟子。そんなもん研究者にしかわからんだろ。そうじゃなく、もっと誰でも楽しめるものだ。特に小さい女の子と大きいお友達がな」
「小さい女の子……? もしかして私もですか!? どんな付加価値なんでしょう……」
「気になるか? なら見せてやろう! これが俺の野望の第一歩ーー」
ピンポーン
言いかけたところで、部屋に片隅に設置した別の魔法陣からそんな音が聞こえてきた。
まったく同時にそっちの魔法陣から浮き上がった映像には、見知った人物が映っている。
俺はそれが誰か確認したうえで見なかったことにした。
「お師様、お客様ですか?」
俺は部屋の隅にある魔法陣、通称『インターホン』を覗き込もうとするミアを手で制しつつ、
「お前は見なくていい。……この魔法陣には隠された機能があってだな」
ピンポーン
「お師様、ぴんぽんが鳴ってます」
「わかっていて無視してるんだ。で、この魔法陣だが……」
ピンポーン
「お師様、ぴんぽんが鳴ってます」
「気のせいだ。心を強くもて。心頭滅却すればぴんぽんもぴんぽんじゃなくなる」
「お師様、意味が分かりません」
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーンピンポーンピンポンピンポンピンピンピンピピピピピピピピピ――
「うるっせーな! 何だよ! 何しに来たんだよお前!」
『あら、折角会いに来てあげたのに随分な言い草ね。っていうかさっさと家に入れなさいよ。こちとらこのインターホン的な魔法陣を連打しすぎて指が痛いのよ』
「お前が勝手にやったんだろうが!」
「あの、お師様……?」
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