第1章 陣痛

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果たさない・求めないという条件で祥子の 希望を受け入れた。だが、祥子が結婚も 認知も望まないからと、自分の子だと わかっている子どもを、はい、そうですかと 預けきりにして良いものだろうか。 二人の女の間で彼の心は彷徨った。本音を 言えば、どちらも失いたくない。けれど、 それは虫が良過ぎるというものだ。 結論を出せないまま今日に至ってしまった。 予想外の早産で、もう時間がない。 美奈子か。祥子なのか。
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